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2007年07月30日

●19AQ5ヘッドフォンアンプ → 408A P-G帰還アンプ

408AheadphoneAmp.jpg

春日変成器のヘッドフォンアンプキットを購入したのは5月のこと。春日さんからは以前にPCL86のシングルアンプキット(後期バージョンの方)を買い求めていたことがあり、その音が予想外に良かったことで、ヘッドフォンアンプの方も期待出来ると踏んでのことだった。

まずは、マニュアル通り、設計図通りに組み立てる。とても親切なマニュアルのおかげで迷うようなところはない。見栄え重視でレタリングを入れたものの、保護用のクリアラッカーをかけてから充分に乾かないうちに組み立て作業をしたせいで、塗装が荒れてしまい、かえって汚くなってしまった。これはマニュアルではなく自分のせいね。

問題なく音出しにまでたどり着く。付属の19AQ5を取り付けて、スイッチオン。煙がモクモク……なんてことはなく、ほのかにヒーターが灯る。ソースをつなぎ、ヘッドフォンをつないで試聴開始すると、見事に音が出てきた。しかし、なんというか軟弱な音なのである。新品の管だから、数時間経てばそれなりに鳴ってくれるだろうとつけっぱなしにしてみる。少しずつマシにはなっていくが、聞けばこの管、半月くらいはエージングにかかるというではないか。辛抱強く鳴らし続けることにして、毎日12時間以上電源を入れるようにした。

ネットを探ってみると、このアンプをイジって遊んでいる同志が結構な数いる。様々な管を差し替えて音の違いを楽しんだり、あれやこれやと改造を試みているんである。たとえば、こことかこことか。アンプの設計者の方も、このアンプキットはあくまで踏み台的なものであって、各自が改造することを薦めているようでもある(もちろん改造は自己責任だけれど)。ならば、とまずは単純に差し替え可能な408Aを試してみた。

単純な差し替えでは、408Aは充分に電流を流さない。つまり、動作点がズレ過ぎているのだ。Ep-Ip特性を眺めてみれば分かるが、LED3個だとバイアスが深すぎて、結果として音量が小さくなってしまう。そこで、LEDの数を減らしながら電流の変化をチェックすると、1個と2個の中間程度がちょうどいい模様。そこで、いっそのこと固定バイアスをやめて抵抗による自己バイアスに変更することにした。これならちょうどいいバイアスを設定しやすい。

バイアスを浅くしてやることで、408Aはかなり大きな利得を確保出来る。オリジナルの19AQ5よりも大きい。けれども、408Aにしても19AQ5にしても、無帰還状態での低音は測定するまでもなく不足している。ドスっというバスドラムの音がポスって感じで、まるで迫力がない。今日日のソースは50〜70Hzあたりに結構なパワーを入れているので(実は超低域はさほど入っていない。それを鳴らす装置を一般リスナーが持っていないからだ)、ここが鳴らないと腰砕けになってしまう。

408AnoFB.jpg


ちなみにこの時点ですでに一ヶ月ほど19AQ5を鳴らしこんでいたが、結局、音質への不満はエージングで解消するようなことはなかった。となると、もはや無帰還とは決別せざるを得ない。負帰還をかけることに。使用する管は、より大きな利得を得ることが出来る408Aに決定した。プリアウト部からP-G帰還をかけると……当たり前だが音は大変身を遂げる。40Hzで-1.74dBと、いまだフラットと呼べるようなものではないが、これなら何とか聴ける。帰還に回す分、利得は減少したが、ゼンハイザーのHD580でも常用可能な音量を確保することは出来た。よりインピーダンスの低い、一般的なヘッドフォンならさらに大きな音量が出る。たとえばソニーのZ900だとすぐにでも難聴になるくらいの大音量が出る。

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不思議なのは、多くの19AQ5アンプの使用者が低域の不足について言及していないことだ。彼らが聴いているのが、低域を重視しないソースだということなのだろうか? もし、ぼくと同様に感じる人がいたら、普通の帰還アンプへの改造をお試しあれ。

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