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2007年08月27日

●テレビ=ワンセグ議論がもたらす違和感

日経系のサイトの記事に、小石を噛んだような違和感を覚える。

地デジにあえて移行しない人たちがいる

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メディア接触の視点から3つの年齢層に分類し、最若年層となる20歳以下の層、つまり学生の層においては携帯がライフスタイルの中心に存在していることを根拠として、ワンセグ付き携帯、もしくはワンセグ付きPCがテレビの代替として増加するだろうという意見だ。

もっとも違和感を感じるのは、タイトルのニュアンスと記事内容が食い違っていることだ。この記事だと、ワンセグは地デジではないということが前提となるわけで、正確さが求められる新聞社系のサイトとしていかがなものかと首を傾げたくなる。おそらく、サイト運営サイド(編集者)の判断により、出来るだけ目を引く見出しにしたということなのだろう。こちらもまんまとはまった口だ。

タイトルの件はともかくとしても、テレビ=ワンセグという層が増加するという意見もにわかには受け入れがたい。携帯に搭載され、カーAVにも搭載されることが珍しくない現在では、ワンセグ視聴の機会は増していくことは間違いないけれど、それはテレビ=ワンセグ限定ということを意味しない。モバイルという視聴環境の制約から、「仕方なしに」画質の悪いワンセグで「我慢している」ということだろう。

MP3をはじめとする圧縮音楽の台頭により、必ずしもクオリティの低さがエンタテインメントを楽しむ上での障害にならないことが示されたものの、ワンセグと地デジ(ここでは狭義の地デジ)との品質差は、MP3とCDのそれとは比較にならないほど大きい。従来の著作権概念からはみ出した故に成功を収めたYouTubeも、この議論の支えにはなってくれないだろう。

著者の議論において、最たる欠陥は、若年層においてテレビ=ワンセグ化の傾向が増し、「年々増加し続ける」としていることである。指摘通り、現在の20代にはパソコンを持っていない人が少なくないと言われている。仕事に忙しく、家に寝に帰るだけの生活ではなるほどパソコンは不要で、テレビがないという家もあるだろう。けれども、その生活スタイルが一生続くとはとても思えない。結婚して家庭を築くようになっても、家族でそれぞれの携帯でテレビを観るというのだろうか? 単身者だとしても、独り身なれば経済的な余裕、時間的余裕からすっかり安価になった大きなテレビを買うことは容易に想像出来る。それでも携帯でワンセグを楽しむということは考えにくい。

ワンセグが、中高生に特化したメディアとしての可能性を秘めていることは間違いないだろうが、彼らも歳を重ねるうちに確実にライフスタイルは変化していく。その視点が足りないのだ。

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