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2006年12月05日

●FONの面白さ、あるいは腹黒さ

「世界最大のWiFiコミュニティ」がいよいよ日本上陸。
簡単に言えば、エンドユーザーであるはずの各自が無線LANのアクセスポイントを設け、FONのコミュニティに対して開放し合いましょうっていうもの。とても共産主義っぽい考えだし、オープンソースな思想にも馴染みそうに思える。世界規模で展開を図っている最中で、FONコミュニティのメンバーなら世界中にちらばるアクセスポイントを利用できる。mixiなんかとはまた違ったコミュニティ作りのワクワク感が味わえそうな気もする。

ただし、障害もある。
ここで問題になりそうなのは、プロバイダの利用規約との兼ね合いだ。
だいだいのプロバイダは、第三者にインターネット回線を利用させることを禁じている。
跳箱さんの「説明になっていないし、問題が多い。」は、

日本のISP契約のうち2000万契約以上でFONの利用は規約・約款違反になる可能性があると指摘して間違いでは無いでしょう。少なくとも、@Nifty、OCN、Yahoo BB、BIGLOBE、DION、ぷららをISPとして利用している方はFONのサービス利用について、きわめて慎重に判断されるべきでしょう。

というまことに適切な指摘だ。法的に考えれば、約款を無視してFONと契約を結ぶことはリスクを背負い込むことを意味している。そして、FONはプロバイダとユーザの間に交わされている契約についてはなんら関知しない。分かっていて目を瞑っているようなもんだ。

もっとも、これはこれでありなのかもしれないとぼくは楽観的に考えている。
プロバイダの約款にありがちな第三者への回線提供を禁止する条項は、要するに再販されたり、そこまで行かなくても、お隣さんと折半で共有回線にされたりすることへの歯止めだろう。一日に2、3時間、メールやwebを楽しむような一般的な家庭においては光ファイバーの帯域は無駄に広いわけで、シェアしたって困らない人たちの方が多いわけだけれども、それをされたら困るのだ。誰って、プロバイダさんである。2軒で1回線なら半分に、3軒で1回線なら1/3になっちまう。オマンマ食い上げである。もちろん、サポートの煩雑さを懸念してということもあるだろう。

けれども、時代はもうそういう段階にはないように思うんである。
光ファイバーが入り込んでる家庭などまるで珍しくないし、実際、さほど大きくないうちのマンションもBフレッツのファミリータイプはお安い料金になっているから、それだけの契約戸数があるっていうことになる。要するに何が言いたいかって言うと、PCを使いそうなおおかたの家はブロードバンドに加入していて、もはやこれ以上ご新規さんを獲得することは難しいってことだ。これからは、いかにいまの客を逃がさないようにするか、いかに他社の客をかっさらうかに社運は掛かっている。ここで、客にイヤな顔のひとつでも見せようもんなら、他所に行ってしまうのは目に見えている。

となれば、だ。たとえFON利用が約款に抵触したとしても、プロバイダが客に難癖をつけることは出来ないんじゃないかと思うのだ。不用意に進入できる無線LANのアクセスポイントが野放しになっている現状を考えれば、それよりはまだ何かしら管理されたFONのほうがマシとも言える。これはあくまでセキュリティとしてのレベルで、マシっていうことだけれど。
ともかく、世界の投資家を相手に金を集めまくるFONを羨んではみても、プロバイダは結局何も出来ずに指をくわえて見ているだけ、もしくは見て見ないフリをするだけ、というのがぼくの予想だ。

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